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カリフォルニア州の州民皆保険制度案

日本では当たり前と思われている医療に対する国民皆保険制度が、ここ米国においては未だに存在しておらず、民間医療保険の保険料の高さとも相まって、無保険者は全米で4700万人にも上ると言われています。

クリントン大統領時代には、ヒラリー大統領夫人が中心となって国民皆保険制度を含む抜本的医療改革案が議論されたこともありますが、大方の反対から廃案になった経緯もあり、米国に於ける国民皆保険制度実現にはほど遠いと思われていました。ところが、中央集権の色合いが強い日本よりも州による地方分権の進んでいる米国では、この皆保険制度に関して非常に興味深い動きが州から生まれています。その代表的なものがカリフォルニア州のシュワルツネッガー知事が2007年1月8日に提案したカリフォルニア州民に対する皆保険制度案です。

カリフォルニア州では、現在人口の約5分の1に当たる650万人以上の無保険者がいると言われており、平均で日本の3倍近い医療費を支払えないがために医療を受けられない人々が多くいることが問題になっています。カリフォルニア州住民の80%が皆保険制度に賛成であると言う最近の世論調査の結果にも勇気づけられたシュワルツネッガー知事は、この問題を解決するために不法移民をも含めた全州民に対する皆保険制度案を提案しました。この皆保険制度の実現のためには120億ドルの費用が必要だと見積もられていますが、この費用を、雇用主、個人、保険業者、医療提供者で折半することにより実現しようとするものです。その骨子は以下の2点です。

  • 現在医療保険を提供していない10人以上の従業員を持つ雇用主に対して、人件費の4%を州の医療保険共同基金に支払うことを義務づける
  • 保険会社に対して個人の健康状態や病歴を理由に保険加入を断ることを禁止し、かつ総収入の85%を医療サービスに提供することを義務づける

これらにより皆保険制度を実現させようと言うものです。実際に120億ドルもの多額の資金が確保され皆保険制度が実現されるかどうかはまだまだ不透明ですが、保険加入の義務化に踏み切ったマサチューセッツ州や、民主党優位の米国議会における医療改革に対する潮流の変化とともに、このカリフォルニア州の皆保険制度案の流れには今後とも注目していきたいと思います。

カリフォルニア州の幹細胞研究

カリフォルニア州は、幹細胞および再生医療に関するバイオ医学研究に対して今後10年間にわたり総計30億ドル(毎年3億ドル)の研究資金を供与するというカリフォルニア州条例71を2004年11月に採択しました。この条例の趣旨に基づいて設立されたCalifornia Institute for Regenerative Medicine (CIRM:カリフォルニア再生医療研究所)の本部が、サンフランシスコに設置されることが2005年5月6日に決定しました。

この30億ドル基金の直接の恩恵を受けるのは、まずはカリフォルニア州立大学やスタンフォード大学などの研究大学および基礎医療研究所などの幹細胞研究者達と考えられます。幹細胞に関する基礎研究が強力に推し進められると同時に、世界中から若い優秀な研究者がカリフォルニア州に集まることが期待されます。これらの研究から派生する新たな知見や技術に加えて、大学から経験を積んだ優秀な研究者が産業界に輩出されるにことの相乗作用により、長期的にはバイオ産業界は全体として大いなる恩恵をうけるでしょう。

スタンフォード大学では、この基金から効果的に研究資金を得るために大学が一丸となり、ガンおよび幹細胞バイオ医療研究所(Institute for Cancer/Stem Cell Biology and Medicine)の統括の元、2005年2月に学際的な再生医療プログラム(Program in Regenerative Medicine)が企画されました。このプログラムでは、各研究者の研究資金(Grant)申請に対する規制はされないが、各研究者からの申請を効果的に行うための助言や取りまとめの役目を果たすことが期待されています。認められた研究資金はまずは新たな幹細胞研究のための設備投資に割り当てられ、専用の研究練が建設される予定です。

参考文献:
Planning begins to pursue grants from Proposition 71 stem cell research funds

それに伴い、必然的に新たに研究者が働く機会が増え、研究補助技術者や大学院生の数も増えるでしょう。資金のあるところに人も集まるということです。

この様に、本法案を歓迎しているスタンフォード大学ですが、しかしながら彼らの頭を悩ませている点があります。それは、いかにして米国政府のヒト胚性幹細胞研究に対する厳しいガイドラインに抵触することなく、カリフォルニア州からの研究資金を使用して幹細胞研究を遂行するか、という現実的問題です。特にスタンフォード大学の様な大きな機関は、政府からの調査の対象になる可能性が高く、米国政府資金による研究と、カリフォルニア州のこの基金からの資金による研究を峻別する体制を確立する必要があります。このために、スタンフォード大学ではヒト胚性幹細胞研究委員会(Human Embryonic Stem Cell Research Panel)を設立し、ヒトES細胞に関わる全ての研究を監視する予定です(参考文献:同上)。

提案時から現在に至るまで、本法案に対してスタンフォード大学ほど力を入れてきている組織は他にはないでしょう。特に一ベンチャー企業では、これほどの体制を取ることは不可能であろうと思われます。しかしながら、長期的にはスタンフォード大学発の研究や研究者がベイエリアの企業に輩出され、IT 産業の世界的中心地であるシリコンバレーの形成の基となったスタンフォード大学が、今度は21世紀のバイオ産業の世界的中心地になる礎となり、ベイエリアの大いなる発展に寄与することは間違いないでしょう。

また、サンフランシスコが無料での提供を約束している San Francisco General Hospital内の約4,300m2の研究スペースに研究設備が整えられる事が期待され、それに伴い研究者だけでなく研究補助のための新たな雇用も促進されるでしょう。加えて、市内中心部にモスコーンセンターと言う4万人収容可能な巨大なコンベンションセンターを抱えるサンフランシスコが、より多くのバイオ医療に関する国際会議の開催地になることも想像に難くありません。

さて、この法案を歓迎する声が大きい一方、財政難の州の予算を使ってこの様な「未知の部分が多い」研究をやることに対する疑問の声があります。その疑問に対しては「だからこそ、州政府の様な公的組織が補助すべき」であると答えたいですね。そもそも営利企業は基本的に儲けることが前提となっているので、幹細胞研究の様な実用までに多額の資金と時間を必要とする研究に対しては、よほどの強力な資金的背景と成功への確信がなければ着手しないでしょう。いきおい短期的にリターンのある研究にのみ力を注ぐ傾向があります。また、儲けの出る可能性の少ない研究を避けるので、どうしても対象が偏りがちになります。例えば、患者数が多くて治療法が発見されれば大きな利益が見込めるような疾病に対してなら多額の研究費がつぎ込まれるが、そうでない稀な難病の治療法に対する研究はいきおい取り残されてしまいます。本来ならば、米国政府がこの様な基礎研究の補助をすべきなのですが、現ブッシュ政権がヒト胚性幹細胞研究に対して大きな制限を加えている現状に鑑み、カリフォルニア州のこの幹細胞研究推進法案は高く評価されるべきでしょう。また、例え30億ドルの州の予算を使ったとしても、カリフォルニア州が幹細胞研究の世界的中心になることによる恩恵は、決して小さい物ではないでしょう。スタンフォード大学の経済学者であるLaurence Baer氏らの試算によると、カリフォルニア州はこの投資により120%から236%のリターンを期待できるとの事です。しかしながら何よりも重要なことは、経済的リターンでは無く、人類に対する貢献だと思います。幹細胞研究を行わなかったならば救えなかったであろう命を救うことが可能になるのなら、その恩恵は計り知れないものがあります。自分の家族が、あるいは友人が、現代の医療では不治と見なされ座して死を待つしか無い病に冒されたときに、財政難云々などと言えるのでしょうか?もし、少しでも可能性があるのなら、その可能性を信じ、その実現に全力を傾けることに対して、異議を唱えることは誰にも出来ないでしょう。我々カリフォルニア州住民は、本法案が可決されたことを世界に誇ってもよいのではないでしょうか。それが、世界第5位の経済大国に匹敵する経済規模を持っているカリフォルニア州に科せられた責務であると思います。

ただ、本筋からは離れますが個人的に懸念される事が一点あります。それは、ドットコムバブルがはじけた後もベイエリアで続いている不動産バブルです。この30億ドルのカリフォルニア州法案の可決、その後のカリフォルニア再生医療研究所の本部がサンフランシスコに設立されたことから、ベイエリアへの企業や人の流入が促進され、これ以上の不動産の高騰を招かないかと言うことです。私は、この「ベイエリアの不動産バブル」の検証も近々行ってみたいと思っています。

最後に一言。今回カリフォルニア州が、非常に大きな潜在的可能性を秘める幹細胞研究に対して、30億ドル支援の法案を通したことをカリフォルニア州住民として誇りに思うと同時に、10年後(あるいはそれ以降に)には大きな花が咲き、病に悩む多くの患者に光明がもたらされる事を心から祈る次第です。

カリフォルニア州シュワルツネッガー知事、水素燃料車を後押し

シュワルツネッガー州知事が、今後6年以内に、州内の主な地点に水素燃料供給所を設置するよう勧告しました。

この勧告では、大学研究所、自動車産業界、州政府の3者が協力し、1億ドルをかけて200箇所に水素燃料供給所を設置する、ということが示されています。環境問題に熱心なシュワルツネッガー州知事のモットーとして、環境と経済は両立しうると言うことを世界に示したいとの意向が強く働いています。

水素燃料電池車の開発に力を入れているホンダは、シュワルツネッガー州知事のこの勧告を賞賛しています。州政府がこのように行政面から水素燃料供給所の普及を推進し、ホンダやトヨタを始めとする自動車産業界が水素燃料電池車開発に力を注ぐことが、この新技術の実現に欠かせないことは間違いありません。しかしながら、別項でも書きましたがカリフォルニア州の財政は厳しい状態にあり、予算的にも、また技術的にも、彼の勧告が実を結ぶ可能性は低いとの指摘もあります。

ちなみに、4月20日にシュワルツネッガー州知事はカリフォルニア大学デービス校にてトヨタの水素燃料電池車ハイランダーを運転、大学内の水素燃料供給所で自ら車に給水素し、ご満悦の様子でした。

カリフォルニア大学、7,600人の学生に入学不許可の通知

予算削減のあおりをくった結果、今年度のカリフォルニア大学の入学許可人数が昨年度の50,291人から46,923人へと減少しました。

また、例年ならば入学が許可されていた学生の内、SAT1と呼ばれる共通試験の成績の低い学生約7,600人がカリフォルニア大学への今年の入学不許可の通知を受け取ったと言うことです。代わりに2年間コミュニティカレッジで勉強することを条件に、2年後にカリフォルニア大学への編入を認めると言う措置が講じられてはいるのですが、その様な突然の入学者削減に対して不満が募っている事は想像に難くありません。

州予算削減のツケを教育に回すのは、大きな間違いであると思うのは私だけでしょうか。

カリフォルニア州の25セント硬貨デザイン決まる

カリフォルニア州25セント硬貨のデザイン

カリフォルニア州25セント硬貨

1999年に始まり、毎年5つの州から発行されてきているアメリカ50州記念25セント硬貨のカリフォルニア州硬貨のデザインが決まり、この度、カリフォルニア州知事であるアーノルド・シュワルツネッガー氏によって発表されました。

カリフォルニア州のパイオニア的探索者であるJohn Muir、ヨセミテ国立公園のハーフドーム、飛翔するカリフォルニア・コンドルが意匠されており、自然保護を強く意識したデザインになっています。また、1850年はカリフォルニア州がアメリカ合衆国に参加した年です。

因みに、実際に発行されるのは2005年度で、発行枚数は20億枚以上になるそうです。