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アメリカに於ける日本酒普及活動

先週の金曜日(2009年3月6日)、サンフランシスコの料理学校California Culinary Academyに於いて開催されたSake Tasting Seminar(The Japan Sake Brewers Association(日本酒造組合中央会)JETRO San Francisco共催、在サンフランシスコ日本総領事館後援)に参加してきました。

参加者は約60名程度でしょうか。その8割以上はアメリカ人と思われます。会場として使われたCalifornia Culinary Academyの教室はその参加者でほぼ満席状態となりイベントが始まりました。

本イベントは大きく2部に分かれており、前半がセミナーで後半が酒のテイスティングです。

前半のセミナーは、フードライターとして著名なPatricia Untermanさんの司会のもと、在サンフランシスコ日本総領事の長嶺安政氏の開会の辞で始まり、日本酒輸出協会会長の松崎晴雄氏が日本酒の概要を、サンフランシスコのレストランBixのExecutive ChefのであるBruce Hill氏が日本酒と洋食とのマッチングを、SausalitoのレストランSushi RanのオーナーであるYoshi Tome(当銘由盛)氏が日本食における日本酒を、そしてサンフランシスコJETRO所長の村永祐司氏の閉会の辞で締めくくられました。Q&Aの時間では会場から活発な質問が発せられ、日本酒をもっとよく知りたいとの聴衆の熱意が感じられました。また、松崎晴雄氏の話は日本語でしたので、それをYoshi Tome氏が英語に逐次通訳しましたが、この逐次通訳は見事でした。

さて、後半は皆が待ちに待った日本酒のテイスティングです。このテイスティングでは、Sushi RanのExecutive ChefであるScott Whitmanさん(写真1)が日本酒に合わせて用意する小皿類料理を、日本酒と共に味わえるのが目玉の一つとなっています。実際に、用意された料理は典型的なカリフォルニア料理と言える料理ですが、さすがに日本酒に合わせて作られただけあり、その味付けは繊細なうまみを生かしたもので、日本酒との相性もぴったりでした。

調理中のScott Whitmanシェフ

写真1:調理中のScott Whitmanシェフ

今回のイベントに遠路はるばる日本から駆けつけた酒造元は以下の10の蔵です。

どの蔵も力の入れようには並々ならぬものを感じましたが、その中でも特に、京都府宮津市のハクレイ酒造の社長である中西哲也氏と一緒に参加された、福知山市の井田一已氏、櫻井一好氏、鬼伝説(特に酒呑童子伝説)で有名な同市大江町で「地酒を造る会」の会長を務められいる大槻博路氏、そして鬼のぬいぐるみをイベント中ずっと着られていた方、の意気込みがひしひしと感じられました(写真2)。

ハクレイ酒造

写真2:ハクレイ酒造

今回のイベントは、主催者のJETROと後援者のサンフランシスコ日本総領事館の肝いりのイベントであり、アメリカにおける日本酒普及に対する強い意志が感じられました。日本酒は文化的に見てもワインと並び称されるべき非蒸留発酵酒であるにも関わらず、つい最近まで世界での知名度はワインとは全く比べものにならないくらい低いものでした。今でもまだまだワインほどの普及度はないですが、多くの人たちの努力でようやくアメリカでも本物の日本酒を理解し、食事と共に楽しむ人が増えてきたことは、アメリカに長く住む日本人としてとてもうれしいことです。

日本酒は日本が世界に誇る食文化です。私も自身が経営するレストラン「Wakuriya(和厨)」や、アメリカ人への日本酒紹介などの活動を通して、微力ながらその活動に貢献できればと思っています。

今回のイベントに参加できたのも主催のJETROサンフランシスコとそれをサポートされた方々のおかげです。心より感謝いたします。

カリフォルニア州の幹細胞研究

カリフォルニア州は、幹細胞および再生医療に関するバイオ医学研究に対して今後10年間にわたり総計30億ドル(毎年3億ドル)の研究資金を供与するというカリフォルニア州条例71を2004年11月に採択しました。この条例の趣旨に基づいて設立されたCalifornia Institute for Regenerative Medicine (CIRM:カリフォルニア再生医療研究所)の本部が、サンフランシスコに設置されることが2005年5月6日に決定しました。

この30億ドル基金の直接の恩恵を受けるのは、まずはカリフォルニア州立大学やスタンフォード大学などの研究大学および基礎医療研究所などの幹細胞研究者達と考えられます。幹細胞に関する基礎研究が強力に推し進められると同時に、世界中から若い優秀な研究者がカリフォルニア州に集まることが期待されます。これらの研究から派生する新たな知見や技術に加えて、大学から経験を積んだ優秀な研究者が産業界に輩出されるにことの相乗作用により、長期的にはバイオ産業界は全体として大いなる恩恵をうけるでしょう。

スタンフォード大学では、この基金から効果的に研究資金を得るために大学が一丸となり、ガンおよび幹細胞バイオ医療研究所(Institute for Cancer/Stem Cell Biology and Medicine)の統括の元、2005年2月に学際的な再生医療プログラム(Program in Regenerative Medicine)が企画されました。このプログラムでは、各研究者の研究資金(Grant)申請に対する規制はされないが、各研究者からの申請を効果的に行うための助言や取りまとめの役目を果たすことが期待されています。認められた研究資金はまずは新たな幹細胞研究のための設備投資に割り当てられ、専用の研究練が建設される予定です。

参考文献:
Planning begins to pursue grants from Proposition 71 stem cell research funds

それに伴い、必然的に新たに研究者が働く機会が増え、研究補助技術者や大学院生の数も増えるでしょう。資金のあるところに人も集まるということです。

この様に、本法案を歓迎しているスタンフォード大学ですが、しかしながら彼らの頭を悩ませている点があります。それは、いかにして米国政府のヒト胚性幹細胞研究に対する厳しいガイドラインに抵触することなく、カリフォルニア州からの研究資金を使用して幹細胞研究を遂行するか、という現実的問題です。特にスタンフォード大学の様な大きな機関は、政府からの調査の対象になる可能性が高く、米国政府資金による研究と、カリフォルニア州のこの基金からの資金による研究を峻別する体制を確立する必要があります。このために、スタンフォード大学ではヒト胚性幹細胞研究委員会(Human Embryonic Stem Cell Research Panel)を設立し、ヒトES細胞に関わる全ての研究を監視する予定です(参考文献:同上)。

提案時から現在に至るまで、本法案に対してスタンフォード大学ほど力を入れてきている組織は他にはないでしょう。特に一ベンチャー企業では、これほどの体制を取ることは不可能であろうと思われます。しかしながら、長期的にはスタンフォード大学発の研究や研究者がベイエリアの企業に輩出され、IT 産業の世界的中心地であるシリコンバレーの形成の基となったスタンフォード大学が、今度は21世紀のバイオ産業の世界的中心地になる礎となり、ベイエリアの大いなる発展に寄与することは間違いないでしょう。

また、サンフランシスコが無料での提供を約束している San Francisco General Hospital内の約4,300m2の研究スペースに研究設備が整えられる事が期待され、それに伴い研究者だけでなく研究補助のための新たな雇用も促進されるでしょう。加えて、市内中心部にモスコーンセンターと言う4万人収容可能な巨大なコンベンションセンターを抱えるサンフランシスコが、より多くのバイオ医療に関する国際会議の開催地になることも想像に難くありません。

さて、この法案を歓迎する声が大きい一方、財政難の州の予算を使ってこの様な「未知の部分が多い」研究をやることに対する疑問の声があります。その疑問に対しては「だからこそ、州政府の様な公的組織が補助すべき」であると答えたいですね。そもそも営利企業は基本的に儲けることが前提となっているので、幹細胞研究の様な実用までに多額の資金と時間を必要とする研究に対しては、よほどの強力な資金的背景と成功への確信がなければ着手しないでしょう。いきおい短期的にリターンのある研究にのみ力を注ぐ傾向があります。また、儲けの出る可能性の少ない研究を避けるので、どうしても対象が偏りがちになります。例えば、患者数が多くて治療法が発見されれば大きな利益が見込めるような疾病に対してなら多額の研究費がつぎ込まれるが、そうでない稀な難病の治療法に対する研究はいきおい取り残されてしまいます。本来ならば、米国政府がこの様な基礎研究の補助をすべきなのですが、現ブッシュ政権がヒト胚性幹細胞研究に対して大きな制限を加えている現状に鑑み、カリフォルニア州のこの幹細胞研究推進法案は高く評価されるべきでしょう。また、例え30億ドルの州の予算を使ったとしても、カリフォルニア州が幹細胞研究の世界的中心になることによる恩恵は、決して小さい物ではないでしょう。スタンフォード大学の経済学者であるLaurence Baer氏らの試算によると、カリフォルニア州はこの投資により120%から236%のリターンを期待できるとの事です。しかしながら何よりも重要なことは、経済的リターンでは無く、人類に対する貢献だと思います。幹細胞研究を行わなかったならば救えなかったであろう命を救うことが可能になるのなら、その恩恵は計り知れないものがあります。自分の家族が、あるいは友人が、現代の医療では不治と見なされ座して死を待つしか無い病に冒されたときに、財政難云々などと言えるのでしょうか?もし、少しでも可能性があるのなら、その可能性を信じ、その実現に全力を傾けることに対して、異議を唱えることは誰にも出来ないでしょう。我々カリフォルニア州住民は、本法案が可決されたことを世界に誇ってもよいのではないでしょうか。それが、世界第5位の経済大国に匹敵する経済規模を持っているカリフォルニア州に科せられた責務であると思います。

ただ、本筋からは離れますが個人的に懸念される事が一点あります。それは、ドットコムバブルがはじけた後もベイエリアで続いている不動産バブルです。この30億ドルのカリフォルニア州法案の可決、その後のカリフォルニア再生医療研究所の本部がサンフランシスコに設立されたことから、ベイエリアへの企業や人の流入が促進され、これ以上の不動産の高騰を招かないかと言うことです。私は、この「ベイエリアの不動産バブル」の検証も近々行ってみたいと思っています。

最後に一言。今回カリフォルニア州が、非常に大きな潜在的可能性を秘める幹細胞研究に対して、30億ドル支援の法案を通したことをカリフォルニア州住民として誇りに思うと同時に、10年後(あるいはそれ以降に)には大きな花が咲き、病に悩む多くの患者に光明がもたらされる事を心から祈る次第です。

サンフランシスコ桜祭

そうとは知らずにサンフランシスコのジャパンセンターに行ったのですが、 実は今日がサンフランシスコ桜祭のGrand Paradeの日でした。 ニュースによると大阪市長(大阪とサンフランシスコは姉妹都市です)も参加するということです。 今年は、桜祭30周年ということで例年にもまして力が入っているのでしょうか。 ジャパンセンターの周りには、数々の食べ物の露店が軒をひしめきあって掛け声をかけています。 こちらに来て9年目にして始めて桜祭を実際にこの目で見たのですが、 こんなに見物人でごったがえすとは思ってもみませんでした。 多くの日系の老人の方々がパレードが始まるのを待っていました。 日系の老人の方々には大きな楽しみの一つなのでしょうね。

蛇足ですが、紀伊国屋ビルの一階に『焼き肉 Juban』が開店していました。