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「天皇論」小林 よしのり

日本人としてのアイデンティティの確立に必ずや一役買うであろう良書です。

漫画と言う手段を通して、「天皇」「皇室」「君が代」「神道」に関して分かりやすくかつ詳細に述べています。恥ずかしながら本書を読んで初めて「天皇」に対する自分の認識が曖昧であったかを思い知らされました。

著者が言わんとすることをまとめると、天皇とは、
1)国内的には、数千年の長きにわたって民間に信仰されてきた「神道」、日本人の精神の根幹を成している「神道」の祭祀を執り行うことを通して、国土と民の安寧を祈る「祭祀王」であり、
2)対外的には日本という立憲君主国家の国事を執り行う「元首」なのです。

また、日本の国歌である「君が代」は、『古今和歌集』に収められた「わが君は 千代にましませ さざれ石の いはほとなりて 苔のむすまで」という長寿を祈る「賀歌(がのうた)」にその源を発し、その後千年以上の長きにわたって庶民によって歌い継がれてきたと言う事実を初めて知りました。さらに、「君」は天皇のような特定の個人を指すのではなく、幅広く自分にとって敬愛すべき相手を意味するのです。つまり、「君が代」は天皇賛歌ではなく、あくまでも敬愛すべき人を称える歌なのですね。

著者が本書で述べていることは、本来なら初等教育において全生徒に対して教えるべき内容でしょう。

ただし、著者自身も本書の中で権威に盲目的に従うことの危険性を説いているように、本書の内容を鵜呑みにするのでなく、批判的に読む事によって、より良く「天皇」を理解できるようになると思います。

小学校高学年、あるいは中学校の副読本としても有用なのではないでしょうか。